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日光国立公園 PARKS TRIP FILM vol.05

2026.09.18 日光国立公園 PARKS TRIP FILM vol.05


山、湖、滝、温泉。車でめぐる日光国立公園。

栃木、群馬、福島の三県にまたがる日光国立公園。山々が連なり、その麓には湖や瀑布、湿原、渓谷、深い森、そして温泉まで。車を走らせるたびに、次々と違う風景が現れる。

その多彩な風景の背景には、この土地で繰り返されてきた火山活動がある。大地には豊かな自然が息づき、森や湿原には季節の花々が咲き、ツキノワグマや鹿、イモリやカエルまで、多くの生き物たちが暮らしている。

そして、人々もまた、この自然と深く関わりながら生きてきた。山そのものに神聖なものを見出し、祈りを捧げる。火山の恵みである温泉は人々の暮らしや旅を支え、不思議な火山の景色からは、今も残る伝説が生まれた。

自然と生き物、そして人の暮らしや信仰。それぞれが長い時間をかけて結びつきながら、今の日光国立公園の風景をつくっている。

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基本情報

日光国立公園
指定:1934年12月4日
面積:114,908ha
エリア:福島県・栃木県・群馬県
撮影時期:2026年6月中旬
撮影時間帯:朝から日没まで

目次

1. 奥日光へ。まずはビジターセンターから
2. 湯ノ湖と湯滝
3. 深い森の中に立つ、日光東照宮
4. 日光白根山へ
5. 男体山登拝と華厳滝
6. 鬼怒川温泉、龍王峡へ
7. 那須エリアへ。沼ッ原湿原を歩く
8. 殺生石と、旅先での再会
9. 那須平成の森で感じたこと
10. 旅の最後は、那須岳へ

1. 奥日光へ。まずはビジターセンターから

6月中旬、日光国立公園を訪れた。三重ではすでに暑さを感じる季節になっていたが、奥日光に入ると空気が一変した。涼しいというより、少し寒いくらいだった。

まず向かったのは、日光湯元ビジターセンター。国立公園を旅するとき、ビジターセンターへ立ち寄ることを大切にしている。その土地にどんな自然があり、今どんな花が咲き、どんな生き物が暮らしているのか。少し知ってから歩くだけで、同じ景色でも見え方が変わってくる。

湯ノ平湿原では温泉が湧き出していた。辺りには硫黄の匂いが立ち込め、湧き出した水はところどころ淡い水色にも見える。周辺には白やピンクのクリンソウが咲いていた。

2. 湯ノ湖と湯滝

目の前に広がる湯ノ湖は静かで、湖畔では釣りを楽しむ人や、ボートに乗ってゆったりとした時間を過ごす人たちの姿があった。

そこから遊歩道を歩いて、湯滝へ。湖から流れ出した水が、大きな岩壁を一気に流れ落ちていく。車を停めて少し歩くだけで、こんな風景に出会える。それも日光の魅力だ。

3. 深い森の中に立つ、日光東照宮

午後は日光東照宮へ向かった。人の流れに沿って歩いていくと、深い緑の中に、鮮やかな色彩と金色の装飾をまとった建物が現れる。

自分が思い描く日本の神社とは少し違う。漆や極彩色、金色の装飾、そして建物を埋め尽くすような細かな彫刻。そこには猿や鳥をはじめ、さまざまな生き物の姿も刻まれていて、眺めているだけでも面白い。

山や森に神聖なものを見出してきた場所に、後の時代、徳川家康を祀る東照宮が建てられた。深い森の中に、これほど華やかな建築がある。その不思議な対⽐も、東照宮に惹かれる理由なのかもしれない。

4. 日光白根山へ

翌日、日光白根山へ向かった。標高2,578メートル。関東以北で最も高い山だ。

森に入ると、ミネザクラやミツバオウレン、イワカガミなど、小さな花々がところどころに咲いていた。亜高山帯の針葉樹林を抜け、少しずつ標高を上げていく。木々が少なくなると、目の前には火山らしい風景が広がっていった。

眼下には、エメラルドグリーンの五色沼。山頂付近では、一匹の雄鹿がのんびりと食事をしていた。山頂からは中禅寺湖や、その向こうに連なる山々まで見渡すことができた。

下山後は、いろは坂を下って日光の町へ。この旅では、風呂を求めて何度もこの道を往復した。大変ではあったけれど、いろは坂を上るたびに空気が変わっていくのが面白い。町と大自然を車で行き来しながら、奥日光の標高の高さを体で感じた。

5. 男体山登拝と華厳滝

翌日は、再びいろは坂を上って男体山へ向かった。中禅寺湖の目の前にそびえる、標高2,486メートルの山。男体山は日光二荒山神社の御神体として、1,200年以上にわたり信仰されてきた。そのため、ここでは山に登ることを「登山」ではなく「登拝」と呼ぶ。

中禅寺湖畔の中宮祠で登拝料を納め、鳥居をくぐる。ここからは、とにかく上へ、上へ。ひたすら登り続ける道に、かつて修行のために人々が登った山であることを実感する。

この日は天気が良く、歩いていると暑さを感じるほどだった。山頂へ近づくと、足元には赤褐色の岩や土が目立つようになる。赤い大地と青い空、そして眼下に広がる中禅寺湖。その色の対比がとても美しかった。

山頂には二荒山神社の奥宮がある。なかなかハードな道のりだったが、その先にはご褒美のような景色が広がっていた。しばらく座って、その景色を眺めていた。

男体山を下りたあとは、華厳滝へ。日光といえば、やはりこの場所。中禅寺湖から流れ出した水が、約97メートルを一気に落ちていく。この日は少し水量が少なく感じたが、間近で見上げる姿はやはり迫力があった。華厳滝をあとにすると、夕日に照らされた男体山が見えた。

6. 鬼怒川温泉、龍王峡へ

翌日は鬼怒川温泉へ向かった。吊り橋を渡り、展望台から温泉街を眺める。山に囲まれて旅館やホテルが並ぶ景色は、どこか日本らしい。その後に訪れた龍王峡では、約2,200万年前の火山活動で生まれた岩を、鬼怒川が削ってできた渓谷を歩いた。

7. 那須エリアへ。沼ッ原湿原を歩く

翌日は、日光を離れて那須エリアへ。車を走らせていると、偶然、那須岳を一望できる場所を見つけた。
沼ッ原湿原では、木道のそばにツツジをはじめとした花々が咲き、水辺にはアカハライモリやオタマジャクシ、カエルの姿もあった。そんな中、木道の間に一輪だけ咲くニッコウキスゲを見つけた。かつてはこの場所にもたくさん咲いていたようだが、現在はニホンジカなどによる食害で、その数を減らしているという。豊かな自然の中にも、生態系の変化がある。ぽつんと咲くニッコウキスゲが、とても印象に残った。

8. 殺生石と、旅先での再会

殺生石へ向かった。那須岳の麓に硫黄の匂いが漂い、荒涼とした風景が広がっていた。九尾の狐が毒を放つ石へ姿を変えたという伝説が残る場所。火山の気配を感じる不思議な景色を前にすると、昔の人々がここから物語を生み出したことにも納得してしまう。

この不思議な景色の中で、伝説が生まれ、人々の祈りが重ねられてきた。

そして、旅先での再会もあった。以前PARKS PROJECTのボランティア活動の際にお世話になったゲストハウスLeu.を再訪した。居合わせた人たちと旅の話をしたり、GORDON MILLERの車内ツアーをしたり、楽しい時間を過ごした。再会と新しい出会い。こういう時間も、旅の楽しみだ。

9. 那須平成の森で感じたこと

翌日、那須平成の森へ。この日も天気はあまり良くなく、森の中にはほとんど人の姿がなかった。静かな森を歩いていると、ツキノワグマに遭遇した。こちらの存在に気づくと、すぐに森の奥へと走っていった。

「この森にはクマがいる」という知識が、実際にその姿を見ることで現実のものになる。ここは人間が自然を楽しむためだけの森ではない。野生動物が暮らす場所に、自分たちがお邪魔している。そんな当たり前のことを、改めて感じた。

10. 旅の最後は、那須岳へ

旅の最終日は、那須岳へ。この日は久しぶりに気持ちのいい青空が広がっていた。以前にも訪れたことがあるが、那須岳はお気に入りの山のひとつだ。

惹かれるのは、この独特な色合い。褐色の大地に、鮮やかな緑。青空の下にその景色が現れると、どこか海外の国立公園を思い出すような美しさがあった。

那須岳は、茶臼岳や朝日岳、三本槍岳などからなる那須連山の総称。活火山の茶臼岳では火山性の大地が広がる一方、標高2,000メートルに満たない場所でも、高山帯を思わせる植生を見ることができる。山頂には、小さな那須嶽神社の祠が立っていた。火山であるこの山もまた、古くから人々の信仰の対象となってきた。

茶臼岳から朝日岳、そして三本槍岳へ。次第にガスが立ち込め、先ほどまで見えていた景色もいつの間にか霧の中。歩くほどに表情が変わっていく那須岳。またこの山を歩きたい。


山を歩き、森や湿原を巡り、温泉に浸かる。生き物に出会い、この土地に残る信仰や伝説にも触れた。

それぞれ別々のものに見えていたものが、旅を続けていると、少しずつ繋がって見えてくる。すべてが同じ土地の上に、長い時間をかけて積み重なってきたものだった。

車で移動し、気になった場所で降りて、歩き、また次の景色へ向かう。日光国立公園は、そんな旅のリズムがよく似合う場所だと思う。山や滝、湖、温泉、社寺、湿原。ひとつの名所だけではなく、道中で出会う風景まで含めて、また訪れたくなる国立公園だった。

National Park Photographer/Videographer
Ryuhei Hata | 秦 竜平
学生時代に旅したアメリカの国立公園での経験が、自然を記録する原点となる。現在は、雄大な自然の中で人が暮らし、文化が育まれてきた日本の国立公園に魅力を感じ、その風景を写真・映像で記録している。


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