秋の風が少し冷たくなってきた10月初旬。国東半島の海沿いで行われる音のイベント「PRHYTHM(プリズム)」に足を運んだ。フェスのような賑わいではなく、音と沈黙のあいだを行き来するような時間。招かれたアーティストたちが海や森の気配とともに音を紡いでいく。今回は、自分の布団を積んでの車中泊。「聴く」と「泊まる」がゆるやかにつながる、そんな旅の形を探してみた。

夕方、仕事を終えてバンライフカー「Vanlife Rental Car by GORDON MILLER」を出発。今回は、自宅で使っている折りたたみのシングルマットレスと布団を積み替え、車内にはクッションもいくつか入れた。特別な準備をしなくても、いつもの寝具があれば十分快適。車の中が、自分の部屋のように落ち着く空間になった。目的地は、国東半島の海沿いにある「GongenCamp」。夕暮れの道を走りながら、ゆっくりと旅のスイッチが入っていった。
VANLIFE RENTAL CAR by GORDON MILLER
・所在地:大分県杵築市山香町大字内河野2543-1(PARKS YAMAGA内)
・営業時間:10:00〜18:00
・大分で借りるバンライフレンタカー
・旅に必要な椅子やランプなどがそろう「VANLIFEセット」を貸出
・キャリー・クレート利用でペット同乗可






窓を開けると、潮の香りと草の匂いが混ざった空気が流れ込んできた。あたりが少しずつ明るくなり、ようやく自分がどんな場所にいたのかがわかる。海のそばの小さな丘に建つ「GongenCampPRHYTHM ― 音と沈黙のイベント」。普段は閉鎖されていて、こうしてイベントのときにだけ開かれる特別な場所だ。目の前には海と、静かな入り江。整えられすぎていない自然の姿がそのまま残っている。施設内の自然を堪能し、次の会場「みんなんかんホール」へ向かう。
Gongen Camp
所在地:大分県国東市国見町伊美崎3690
利用:現在はイベント開催時のみ開放。
特徴:海沿いの高台にある小さなキャンプ場で、
普段は閉鎖されているが、PRHYTHMなど特別イベント時に限り使用可。
海と丘を望む景色が印象的。
5.PRHYTHM ― 音の海







会場は、国東市国見町にある「みんなんかんホール」。コンクリートとガラスの建物の中に、柔らかな光が差し込んでいた。衣服や器、香りのブースが並び、地元の食材を使った弁当や、ナチュラルワイン、ジンなどが並んでいた。穏やかに人が集まり、それぞれが会話したり、ただ音を待つように過ごしていた。昼のプログラムがはじまると、ホールの中は一気に静まり返る。光と音、舞と沈黙。言葉ではないやりとりが空間のあいだに生まれていく。そして夜。照明が落ち、音がリズムを帯びていく。ダンスフロアには人が集まり、それぞれが自由に、思い思いに身体をゆらしていた。昼の沈黙とは対照的に、夜は音に身をまかせる時間。
みんなんかんホール(国見生涯学習センター)
・所在地:大分県国東市国見町伊美2305-1
・電話:0978-82-1115
・概要:多目的ホールと学習施設を併設した地域の文化拠点。通常は公共施設利用となるが、今回のような音楽・アートイベントでも会場として使われている
PRHYTHM(プリズム)
・開催地:大分県国東市を中心に、回ごとに異なる場所で開催
・公式サイト:https://prhythm.org
・概要:毎回、異なる場所とテーマで行われる音とアートのイベント。海辺のキャンプ場や文化施設など、その土地の空気を感じられる会場で、音・舞踏・光・香りなど多様な表現を通じて「音と沈黙のあいだ」を体験する。自然と人、人と人が交わる“音の旅”のような時間をつくり出している。
6.帰り道

夜中、音楽と波の音を思い出しながら帰路に着く。田園の向こうに月が浮かび、秋の気持ちいい風がふいている。車の中にはまだ、波の音と風の匂いが残っている。寝袋やポット、マグカップ。使い慣れたものに囲まれて、どこにいても自分のペースで過ごせた。バンライフカーがあったから、気軽にイベントの前夜祭から参加できた。テントを建てる手間もなく、そのまま眠れる安心があった。イベントや前夜祭、フェスのような時間をもっと気軽に楽しみたい。そんなときこそ、バンライフカーの出番。走る部屋のような安心感が、旅の自由をぐっと広げてくれる。
■今回の旅先
VANLIFE RENTALCAR by GORDON MILLER → Gongen Canp (旧権現崎キャンプ場)→ みんなんかんホール(国見生涯学習センター)
日程: 1泊2日
走行距離: 約80km

【著者:みく】
VANLIFE RENTALCARのスタッフ。福岡から大分へ移住し、自然に囲まれた暮らしを送りながら、アートや旅を楽しんでいる。バンライフならではの自由な時間や出会いを表現の源に、仕事と日常を行き来しながら、旅の楽しさと暮らしの豊かさを伝えている。