GORDON MILLER YAMAGAで、軽バン S-01(ハイゼットカーゴベース)を借り、大分県竹田市の長湯温泉へ。国内でも有数の炭酸泉で知られる町だが、実際に巡ってみると、ここにあるのは温泉だけではなかった。山から湧き出す水、川を流れる水、空から降る雨。地面に染み込んだ水は、湧水や温泉となって、もう一度地上へと現れる。旅の途中には雨が降り、晴れ間が差すと、山から水蒸気が立ちのぼっていく景色も見た。湧水でつくられた豆腐を味わい、森の中の図書館を訪ね、炭酸泉に浸かり、温泉のそばで車中泊をする。今回は、水の循環の中に身を置くような、長湯温泉の一泊二日の旅となった。
1.湧水から始まる朝。出来立て豆富 湧水茶屋へ





長湯の旅は、澄んだ水が流れる「水の駅おづる」の周辺から始まった。朝ごはんに訪れたのは、小津留湧水の向かいにある「出来立て豆富 湧水茶屋」。国産大豆と、この土地に湧く水を使ってつくられた豆腐や、豆腐を使った料理が並んでいる。たくさんの料理を前に迷いながら、まずはシンプルに豆腐を味わうことにした。口にすると、大豆の風味とやわらかな食感が、そのまま静かに伝わってくる。特別な味付けをしなくても十分においしいのは、この土地の水があってこそなのかもしれない。価格が手頃なのもうれしく、朝早くから立ち寄れることも、早い時間から動きたい旅の日にはありがたい。湧水でつくられた豆腐を食べる。長湯という水の町を巡る一日の始まりに、よく似合う朝ごはんだった。
出来立て豆富 湧水茶屋
住所:大分県竹田市直入町大字下田北1385-5
電話:0974-78-1755
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=出来立て豆富+湧水茶屋
※営業時間・定休日は変更される場合があります。訪問前に店舗の最新情報をご確認ください。
2.小津留湧水と海原六神社。水の生まれる場所を歩く





朝食のあとは、水の駅おづるの周辺を歩く。ここでは小津留湧水が絶え間なく流れ出し、そのそばに海原六神社や農産物の直売所が点在している。勢いよくあふれ続ける水を眺めていると、地面の下に見えない大きな流れがあることを想像する。蛇口をひねって出てくる水とは違い、目の前で生まれ、流れ続けている水。その豊かさを、音や冷たさと一緒に感じることができる。すぐ近くの海原六神社にも立ち寄った。大きな観光施設を急いで巡るのではなく、車を停めて少し歩き、水の流れや、土地に古くから残る場所をひとつずつ訪ねていく。そのゆっくりとした時間が、長湯の旅によく似合っていた。
小津留湧水・水の駅おづる・海原六神社
住所:大分県竹田市直入町下田北1319-1
水の駅おづる 売店営業時間:8:00〜18:00
定休日:3月〜11月 無休/12月〜2月 第1水曜日
湧水:常時利用可能
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=水の駅おづる
3.林の中の小さな図書館で、時間を忘れる




小津留湧水から車を走らせ、次に向かったのは「B・B・C長湯 林の中の小さな図書館」。名前の通り、木々に囲まれた静かな場所にあり、建物へ近づくにつれて、町の音が少しずつ遠ざかっていくようだった。
館内にはここ場所にゆかりのある旅と山好きたちが集めた本が並び、窓の外には緑が広がっている。旅の途中で本を手に取り、椅子に腰かけてページをめくる時間は、観光地を巡る時間とはまた違う豊かさがある。急いで次の場所へ向かうのではなく、少し立ち止まって過ごしたくなる空気があった。外では雨上がりの木々がしっとりと濡れ、室内には静かな時間が流れている。水の流れを追うように始まった旅の中で、ここは少し呼吸を整える場所のように感じられた。
B・B・C長湯 林の中の小さな図書館
住所:大分県竹田市直入町長湯7788-2
入場料:100円
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=B・B・C長湯+林の中の小さな図書館
※開館時間・休館日は変更される場合があります。訪問前に最新情報をご確認ください。
4.丸山公園の展望台から、長湯の町を見渡す


図書館を出たあとは、さらに坂を上り、丸山公園の展望台へ。眼下には長湯の温泉街が広がっている。林の中に身を置いていた先ほどまでとは景色が大きく変わり、自分たちがこれから歩く町を、少し高い場所から見渡すことができた。この日は雨と晴れ間を繰り返す空模様。流れる雲や差し込む光によって、山や町の表情が次々と変わっていく。雨に濡れた山からは、白い水蒸気がゆっくりと立ちのぼっていた。空から降った雨が山や土へ染み込み、湧水や温泉となって、再び地上へ現れる。そして太陽に照らされ、また空へと戻っていく。その景色を眺めながら、自分たちも今、水の循環の中にいるのだと実感した。
丸山公園
住所:大分県竹田市直入町長湯
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=丸山公園+長湯温泉
5.絶景の中で一息。cafe風と土で昼ごはん




展望台から長湯の町を見渡したあとは、昼ごはんを求めて「cafe風と土」へ向かった。店のまわりにはのびやかな景色が広がり、車を降りた瞬間から、少し深呼吸をしたくなるような場所だった。窓の外を眺めながらいただいたのは、和風のカレーと深煎りのコーヒー。やさしい出汁の気配を感じるカレーは、移動や散策で少し疲れた体にじんわり染み渡っていく。食後のコーヒーも香ばしく、絶景の中で一息つく時間そのものが、この日の旅の大切な休憩になった。この日は雲の多い空だったが、晴れている日なら遠くの山々まで一望できるのだろう。敷地にはキャンプ場も併設されているようで、次はここに泊まりに来るのもいい。
cafe風と土
住所:大分県竹田市周辺
営業時間:10:30〜17:00
定休日:水曜日
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=cafe風と土
6.ラムネ温泉館。美術作品の中で炭酸泉に浸かる



長湯温泉を訪れたなら、やはり外せないのがラムネ温泉館。建物を手がけたのは、建築家・藤森照信。特徴的な外観を眺めながら中へ入ると、まるで建築という大きな美術作品の中へ足を踏み入れたような気持ちになる。壁の質感や窓の形、建物の中へ差し込む光。温泉に入る前から、つい細かなところまで目で追ってしまう。そして、温泉は言わずもがな素晴らしい。露天にある32℃ほどの炭酸泉は、暑さの残るこの季節にも心地よく、いつまでも浸かっていられそうだった。肌の表面には少しずつ小さな気泡がつき、静かに体を包んでいく。館内にはサウナもある。サウナで体を温め、ぬるめの炭酸泉へ。じんわりと温まりながら、また炭酸泉の中でゆっくりと体を休める。急ぐ理由もなく、ただお湯の中で過ごしていると、時間の感覚が少しずつ薄れていった。湯上がりには、併設されている小さな美術館へ。温泉に浸かるだけでなく、建築や作品を眺めながらゆっくり過ごせるのも、ラムネ温泉館の魅力のひとつだ。
ラムネ温泉館
住所:大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
営業時間:10:00〜22:00
休館日:毎月第1水曜日(1月・5月は第2水曜日)
入浴料:大人800円、小学生400円、未就学児200円2620
駐車場:あり
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=ラムネ温泉館
7.水と湯が隣り合う、長湯温泉街を歩く




ラムネ温泉館を出たあとは、湯乃原天満社や薬師堂など、長湯温泉街に点在する場所を歩いて巡った。長湯の町には、温泉や湧水にまつわる場所が、暮らしのすぐそばに残っている。有名な観光地だけを目指して歩くというよりも、道の途中にある小さな鳥居や石碑に気づき、少し立ち止まってみる。冷たい湧水と、地中から湧き出す温かな湯。異なる温度の水が、同じ町の中に隣り合っていることもおもしろい。歩いていると、この場所で水や温泉が長い間大切にされてきたことが、少しずつ見えてくる。川の脇に湧いている無料の露天温泉「ガニ湯」は、今回は連日の雨で川に埋もれていた。
湯乃原天満社・薬師堂周辺
所在地:大分県竹田市直入町長湯温泉街
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=湯乃原天満社
8.道の駅ながゆ温泉 おんせん市場へ



散策の途中には、「道の駅ながゆ温泉 おんせん市場」へ。店内には地元で採れた野菜や加工品、豆腐などが並び、観光地でありながら、町に暮らす人たちの日常も感じることができる。旅先で市場や直売所に立ち寄ると、その土地で何がつくられ、何が食べられているのかが少し見えてくる。特別なお土産を探すというよりも、今夜食べたいものや、家に持ち帰りたいものを選ぶ。そんな時間も、車で旅をする楽しみのひとつだ。
道の駅ながゆ温泉 おんせん市場
住所:大分県竹田市直入町長湯7952-1周辺
営業時間:8:00〜18:00
定休日:毎月第3水曜日、12月31日、1月1日
電話:0974-75-2805
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=道の駅ながゆ温泉+おんせん市場
9.秘湯ながの湯キャンプ場で、気ままな車中泊




この日の宿は、長湯温泉街から少し離れた場所にある「秘湯ながの湯キャンプ場」。田園風景と山々に囲まれ、小川の音や鳥の声を聞きながら過ごせる静かな場所だ。キャンプ場のオーナーは、日頃からGORDON MILLERのことも親しく見てくださっているそうで、到着すると温かく迎えてくれた。
今回は電話で予約をし、チェックインやチェックアウトの時間にも柔軟に対応していただいた。細かな予定を決めすぎず、その日の流れに合わせて気ままに過ごせることがうれしい。車を停め、少しずつ夜の支度をする。炊事場もあるので、今夜は道の駅で買ったものを簡単に調理してのんびり過ごすことに。昼間にいくつもの場所を巡ったあと、今日はここで眠るのだと思うと、自然と気持ちもゆるんでいった。
秘湯ながの湯キャンプ場
住所:大分県竹田市直入町長湯426-2
キャンプ料金:テント1張り2,000円(車中泊も同額)
電話:070-2640-4067
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=秘湯ながの湯キャンプ場
10.夜のながの湯。熱い湯と水風呂で体を休める



夜は、キャンプ場に併設された「秘湯 ながの湯」へ。ラムネ温泉館のぬるめの炭酸泉とは対照的に、こちらはしっかりと熱く、鉄分を多く含んでいることが伝わる力強いお湯だった。湯に浸かると、体の奥まで温かさが届いていく。一日歩き、運転した体が、少しずつ回復していくようだった。温泉の温度が高いこともあり、この時期には水風呂も用意されていた。熱い温泉に浸かり、冷たい水風呂へ。それを何度か繰り返していると、体に残っていた疲れがすべて流れていくように感じる。昼間に入った温泉とは、また違う静かな夜の湯。温泉を出たあとはそのまま車へ戻り、外の音を聞きながらゆっくりと過ごした。温泉のすぐそばで眠れることが、この日のいちばんの贅沢だったのかもしれない。
秘湯 ながの湯
住所:大分県竹田市直入町長湯426-2
浴場:男女別浴場、貸切湯あり
電話:070-2640-4067
Googleマップ:https://maps.google.com/?q=秘湯ながの湯
※入浴時間や料金、メンテナンスによる休館時間は事前にご確認ください。
11.朝風呂に浸かり、湧水を汲んで旅を終える



翌朝。目を覚ますと、もう一度ながの湯へ向かった。夜とはまた違う明るさの中で、朝の温泉に浸かる。少し冷たい朝の空気と、熱い湯の温度差が心地いい。旅先で朝風呂に入ると、昨日までの疲れを落とすだけではなく、今日という一日を新しく始められるような気持ちになる。帰る前には、もう一度水の駅おづるへ。旅の始まりに訪れた場所で、今度は自分へのお土産として、小津留湧水を汲んで帰ることにした。勢いよくあふれ出す水を容器に入れながら、この旅で出会ったいくつもの水の景色を思い出す。
空から降ってきた雨。森や土へ染み込む水。地中から湧き出す湧水と温泉。山に差し込む太陽の光に照らされ、再び空へとのぼっていく水蒸気。その循環の中に、身を置きながら流れるように進んだ旅だった。予定を詰め込みすぎず、気になる道に入り、見つけた場所で車を停める。森の中で本を眺め、町を歩き、湯に浸かり、温泉のそばで眠る。水が流れるように、その日の気分に合わせて移動する。そんなバンライフカーならではの自由な旅が、長湯温泉にはよく似合っていた。
■今回の旅先
DAY1
GORDON MILLER YAMAGA 出発 → 出来立て豆富 湧水茶屋 → 小津留湧水・水の駅おづる・海原六神社 → 林の中の小さな図書館 → 丸山公園展望台 → cafe風と土 → ラムネ温泉館 → 湯乃原天満社・薬師堂周辺 → 道の駅ながゆ温泉 おんせん市場 → 秘湯ながの湯キャンプ場 → 秘湯 ながの湯 → 車中泊
DAY2
秘湯 ながの湯 → 水の駅おづる → 小津留湧水

【著者:みく】
VANLIFE RENTAL CARのスタッフ。福岡から大分へ移住し、自然に囲まれた暮らしを送りながら、アートや旅を楽しんでいる。バンライフならではの自由な時間や出会いを表現の源に、仕事と日常を行き来しながら、旅の楽しさと暮らしの豊かさを伝えている。



